もりのぶ小児科|新宿区西五軒町の小児科

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インフルエンザワクチンの予防接種について

インフルエンザワクチンの予防接種は、年齢によって予防接種の回数が違います。
小児、高齢者、成人、また妊娠中の方でも予防接種可能ですが、注意しなければならない点がいくつかあります。

今回はインフルエンザワクチンの予防接種はいつ受けるべきなのか、また効果の持続期間などについて解説していきます。

また、もりのぶ小児科では、インフルエンザワクチンの接種を行っています。
当院のHPにお知らせがあります。予防接種の予約ボタンからご予約ください。

 


インフルエンザワクチンの効果と持続期間

インフルエンザワクチンの接種を考えるにあたり、ワクチンの効果と効果の持続時間はどのくらいなのか気になりますよね。
それぞれ解説いたします。

 


インフルエンザワクチンについて

インフルエンザワクチンは、不活化ワクチンです。
インフルエンザの不活化ワクチンは、まずインフルエンザA型株やB型株のウイルスを鶏卵で培養します。

増殖したウイルスを含む液を不活化処理してウイルス粒子を分解し、ウイルスの膜蛋白で感染免疫防御となるHA蛋白を含んだ液を採取し、精製したものがHAワクチンになります。

インフルエンザウイルスを接種するわけではありませんので、ワクチン接種によってインフルエンザウイルスに罹患することはあり得ません。

現在、国内で広く用いられているインフルエンザワクチンには以下の4つのウイルス型が含まれています。

選定については、当該年の南半球でのインフルエンザの流行状況から、北半球での次シーズンの流行株を予測します。
WHOから選定されたウイルス株が発表されると、各国でインフルエンザワクチンが毎年製造されます。

今シーズン(2023/24)は以下の株が選定されました。

A/Victoria(ビクトリア)/4897/2022(IVR-238)(H1N1)
A/Darwin(ダーウィン)/9/2021 (SAN-010)(H3N2)
B/Phuket (プーケット)/3073/2013 (山形系統)
B/Austria(オーストリア)/1359417/2021(BVR-26)(ビクトリア系統)

昨年のワクチンから、H1N1株が変更になっています。

新型コロナワクチンとの接種間隔と同時接種

インフルエンザワクチンと新型コロナワクチン(5-12歳用、12歳以上用)との接種間隔の制限はなくなり、同時接種も可能となりました。

新型コロナワクチンとインフルエンザ以外のワクチンとの間隔は14日以上開ける必要があります。

当院では、新型コロナワクチンの希望者が多くないことと、ワクチンの取り間違えのリスクを考えて、同時接種は見合わせる予定です。

 

インフルエンザワクチンの効果って?

インフルエンザワクチンの効果は、主にインフルエンザの合併症の減少、重症化および死亡率の抑制です。
インフルエンザワクチンを接種しても、インフルエンザの罹患を完全に予防できるわけではありませんが、臨床症状の軽症化や、合併症の抑制効果が一定程度認められています。

米国CDCの研究によると、65歳未満の発病予防効果は、70%~90%と結果が報告されています。
国内の研究においては、高齢者(福祉施設入所者65歳以上)の場合の発病阻止効果は、34%~55%と結果が報告されています。
この差は、研究方法の違いや、経鼻ワクチン(生ワクチン)の使用などが影響しています。

また、インフルエンザは1週間程度で治る方がいる一方で、肺炎や脳症などの重症化により死亡される方もおられます。
インフルエンザワクチンではその重症化を予防します。
国内の研究によると、65歳以上の重症化による死亡を抑える効果は、約80%という結果が報告されています。

生後6か月から3歳までの小児、喘息の体質がある方、熱性痙攣(けいれん)を起こしたことがある方、てんかんなどの痙攣を起こす基礎疾患などがある方は、積極的に予防接種を受けるようにしましょう。

 


効果が持続する期間はどのくらい?

インフルエンザワクチンのウイルスの抗原型と予防接種の間隔・回数が適正だった場合、効果が持続する期間はおよそ3〜6か月であることが明らかになっています。

個人差がありますが、インフルエンザ流行の1シーズンの期間は、ワクチンの効果が期待できます。

 

インフルエンザの予防接種を受ける時期はいつ?

インフルエンザに対する免疫効果は、予防接種1回目の場合、予防接種後(1回目)のおよそ2週間後から現れます。

予防接種2回目の場合においても、予防接種後(2回目)のおよそ2週間後から免疫効果が現れます。
2回目の接種は、ブースター効果により、より強くより長い期間の免疫獲得が期待されます。

インフルエンザワクチンの免疫効果の持続期間は、個人差はありますが3-6ヵ月程度と考えられています。

日本国内においてインフルエンザの流行は、通常では12月から4月の冬から春の季節といわれています。
また流行の立ち上がりは、年末年始であることが多く、流行のピークは例年では1月末から3月上旬の冬季に迎えます。

今シーズン(2023/24)は、4年ぶりの流行で、2023年9月時点で小中学生を中心に、通常より早く流行が始まっています。これまでの通常のパターンと異なります。

今後の流行状況に注意して観察する必要がありますが、年明けに別のタイプのインフルエンザウイルスでの流行が起きる可能性があります。

一般的に、2回接種の場合、インフルエンザに対する免疫が十分にできるまでには4〜8週間程度かかると見込まれます。
つまりインフルエンザの流行初期に免疫をつけておきたい場合は、10〜12月にワクチンを接種することが望ましいです。
特に13歳未満の小児は2回接種が必要です。

ただ、春にも流行することがあり、1月に受けても流行の後半の時期をカバーしてくれます。
12月以降に生後6か月になり、保育園に通園している、兄弟がいる家庭のお子さんは接種を検討してください。

 

インフルエンザワクチンの接種間隔について

インフルエンザワクチンの予防接種の回数・間隔は、日本式と米国CDC式によって異なります。

日本式の場合

日本式の場合は13歳を境に予防接種の回数・間隔に違いがあります。

13歳未満の方は、推奨予防接種の回数は2回とされています。
その理由は、ブースター効果により、1回目の予防接種後よりも2回目の予防接種後の方が強い免疫を得られるためです。

また、インフルエンザの予防接種の間隔は、2〜4週間の間隔をあければ接種可能ですが、できれば4週間程度の間隔をあける方が、より高い免疫の獲得が期待できると考えられます。

13歳以上の方は、推奨予防接種回数は1回とされています。
その理由は、13歳以上であれば1回接種でも十分な抗体価の上昇が認められるためです。

特に、これまでのシーズンでインフルエンザワクチンの接種を受けている方は、1回の予防接種で2回の予防接種と同じ程度の効果を得られるとされています。

 

米国CDC式の場合

一方で米国CDC式の場合は9歳を境に予防接種の回数・間隔に違いがあります。
3歳から9歳未満の方は、推奨予防接種回数は2回とされています。

ただし前年までに2シーズン以上のワクチン予防接種をしていれば、1回の予防接種で良いとされています。2回予防接種する場合の予防接種の間隔は、20日以上の間隔をあけます。

9歳以上の方の場合は、推奨接種回数は1回とされています。

 

インフルエンザワクチンは何歳から接種できる?

インフルエンザは、低年齢での感染時に、熱性痙攣や肺炎の合併症などの重症化のリスクがあります。
そのため、インフルエンザワクチンの予防接種は、生後6か月から受けることが可能です。

ただし、生後6ヶ月~1歳未満の方は、インフルエンザワクチンの効果が1歳以上の他の年齢層の人より高くはありません。
つまり、接種しても感染してしまうケースが多い傾向があります。

家族全員でインフルエンザワクチンを接種して、インフルエンザに罹らないように予防することが大切です。

0歳から保育所に行っているお子さん、もしくは、兄弟のいる0歳児はインフルエンザワクチンの接種をお勧めします。

両親などの周囲の大人がインフルエンザワクチンを接種して、健康的な生活を送りましょう。

0歳児は、インフルエンザの免疫がない状態なので、インフルエンザワクチンを接種することで免疫が反応し、次シーズン以降でワクチン接種をした時に免疫獲得がより高く期待できます。(プライミング効果)

卵アレルギーがある方は、接種後のアレルギー反応の観察が大切です。
その理由は、ワクチン製造の初めに卵でウイルスを培養しているからです。

製品化の製造過程では卵蛋白はほとんどなくなり、理論的に何らかの蛋白質が残っている程度です。
そのため、実際に卵アレルギーがある方で副反応が出たという事実は確認されていませんが、その後の経過は観察するようにしてください。

また、卵の加熱加工品を含めて食べているお子さんは、接種後の体調観察をしっかりすれば接種を受けることができます。
実際に、インフルエンザに罹患するリスクとの比較になります。

卵(加熱加工品を含む)を食べたことがないものの、接種を希望される方は事前に診察を受けて、接種の可否をご相談ください。

 

インフルエンザワクチンの副反応について

インフルエンザワクチンの予防接種を受けると、副反応が出る可能性があります。

副反応は局所的なものと、全身に現れる症状があります。
その中でも、予期できることと、予期が難
しいことがあります。
また、軽症か重症なのかの重症度も副反応の評価には大事なことです。

局所に現れる可能性のある副反応の症状は、以下の通りです。

  • 局所的な発赤、紅斑、腫脹(皮膚に現れる病変)
  • 蕁麻疹(盛り上がる赤みや強いかゆみを伴う皮疹)
  • 掻痒(かゆみ)
  • 疼痛(痛み)

局所に現れる副反応は、予防接種を受けた方のおよそ10~20%に発症し、通常数日間症状が続きますが、自然治癒します。


全身に現れる可能性のある副反応は以下の通りです。

  • 発熱
  • 頭痛
  • 倦怠感(だるさ)

全身に現れる副反応は予防接種を受けた方のおよそ5~10%に発症し、通常2~3日目まで症状が続きます。


一番気をつけなければならないのは、稀にアナフィラキシーによる合併症が現れることです。
アナフィラキシーは、インフルエンザワクチンの予防接種に対する強いアレルギー反応です。

中でも血圧低下を伴う重度な場合には、インフルエンザワクチンの予防接種後すぐに、もしくは15分以内に反応が起きることが多いです。
そのため、インフルエンザワクチンの予防接種後のおよそ30分間は、医療機関において安静にすることをおすすめいたします。

 

インフルエンザワクチンの値段はどのくらい?

当院でのインフルエンザワクチン接種費用は、以下の通りです。

任意接種の場合、

生後6か月から13歳未満:1回3,300円(外税含む)で2回接種
13歳から20歳未満の方:1回4,400円(外税含む)で1回接種
20歳以上の方:1回5,500円(外税含む)で1回接種

になります。

新宿区の助成対象の方は、令和4年度は自己負担1,700円になります。(新宿区発行の予診票が必要です。問診と診察後に接種見合わせとなった時は、900円かかります。)

令和5年度インフルエンザ予防接種接種期間は令和5年10月1日(日)~令和6年1月31日(水):新宿区 (shinjuku.lg.jp)

(文京区と千代田区の助成は利用できません。)

 


インフルエンザワクチン接種後の注意点

インフルエンザワクチンの予防接種による副反応は、おおよそ24時間以内に発症することが多いです。
そのため、予防接種後のおよそ24時間以内は、体調に注意を払う必要があります。

インフルエンザワクチンを接種して、インフルエンザに罹患することはありません。

インフルエンザワクチンの予防接種後に入浴することは差し支えありませんが、注射部位を強く揉むことは控えましょう。

また、ワクチン接種後は大量の飲酒を避ける必要があります。
飲酒をすると、注射部位が腫れるといった症状が強く出る場合があります。

 


インフルエンザワクチンは妊婦でも接種できる?

インフルエンザワクチンの予防接種は、妊娠中または妊娠している可能性のある方や、産婦・授乳婦などの方でも問題なく受けることができます。妊娠初期は産婦人科での診察を受けて、妊娠が安定していることが確認出来てから接種されることをお勧めします。

社団法人日本産科婦人科学会の新型インフルエンザワクチンに対する要望には、以下のことが記されています。

  • 妊婦は新型インフルエンザに罹患すると重症化しやすく、また死亡率も高い可能性がある。
  • これまでの臨床試験から、胎児に対する重大な影響は確認されていない。

また、公益社団法人日本産科婦人科学会と公益社団法人日本産婦人科医会による産婦人科診療ガイドライン(産科編 2020)では、以下の通り記されています。

  • 妊婦へのインフルエンザワクチンの予防接種はインフルエンザの予防に有効であり、母体および胎児への危険性は妊娠全期間を通じてきわめて低いと説明する。
  • インフルエンザに感染した妊婦・分娩後2週間以内の褥婦への抗インフルエンザウィルス薬投与は、重症化を予防するエビエンスがあると説明する。
  • インフルエンザ患者と濃厚接触した妊婦または分娩後2週間以内の褥婦への、抗インフルエンザウイルス薬予防投与は有益性があると説明する。
  • 以上を状況にあわせて説明し、希望する妊婦または褥婦にはインフルエンザワクチン予防接種あるいは抗インフルエンザウイルス薬投与を行う。

 

ワクチンの接種はこちら

また、もりのぶ小児科では、インフルエンザワクチンの接種を行っています。
下記のボタンよりお気軽にお問い合わせください。

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3年振りのインフルエンザの流行が起きています。

既に罹患した方も、冬の流行に備えて積極的にワクチンを接種して、予防に努めて頂ければ、有難く思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

2021年10月 初稿

2022年10月 更新

2023年10月 更新

 

参考文献

2022/23 シーズンのインフルエンザ治療・予防指針 ―2022/23 シーズンの流行期を迎えるにあたり― 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会

http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20220926-1flu.pdf

「インフルエンザワクチン連続接種によるワクチン効果減弱についての臨床疫学研究」感染症学雑誌 94 巻 5 号 p. 647-653 (2020) 斎藤 信夫https://www.jstage.jst.go.jp/article/kansenshogakuzasshi/94/5/94_647/_pdf/-char/ja


厚生労働省「インフルエンザワクチンの添付文書」https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000020b41-att/2r98520000020b8o.pdf


社団法人 日本産科婦人科学会「新型インフルエンザワクチンに対する要望 」http://www.jsog.or.jp/news/pdf/20090828_yobo.pdf


公益社団法人日本産科婦人科学会と公益社団法人日本産婦人科医会による「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020」
http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2020.pdf