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ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症について

ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症は、性経験のある女性の多くが感染する一般的なウイルスです。
HPVに感染することで子宮頸がんや尖圭コンジローマといった病気を発症する可能性があるため、HPVについて正しく理解し、予防法を学んでおくことが重要です。

今回はヒトパピローマウイルス(HPV)とは何か、またHPV感染症の予防法やワクチン接種について解説していきます。

 

 

ヒトパピローマウイルス(HPV)とは

ヒトパピローマウイルス(HPV)はヒト乳頭腫ウイルスともよばれ、性の経験がある女性の50%~80%以上が感染する可能性があると言われているウイルスです。

ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染経路は、主に性行為が原因とされています。
性体験の際に皮膚や粘膜の微小な傷口から侵入し、細胞に感染することがわかっています。

 

 

 

HPV感染による主な病気は?

ヒトパピローマウイルス(HPV)は、女性の50%~80%以上が生涯で一度は感染するといわれています。

HPVに感染すること自体は特別なことではありません。子宮頸がん発症にまで至ることは稀です。

ヒトパピローマウイルス(HPV)の遺伝子型(タイプ)は、およそ150種類以上あることが確認されています。

悪性腫瘍の発生に関係するHPVには、16、18、31、33、45、52、58型などがあり、「高リスク型(発癌性)HPV」と呼びます。

女性は子宮頸部の感染で子宮頸がんが進行する可能性があります。
また肛門がん・外陰部がん・膣がん・陰茎がんなどの、さまざまな癌との関連があることが確認されています。
その一方で、良性の疣贅(いぼ)である尖圭コンジローマの発生に関係するHPVには、6型、11型などがあり「低リスク型(非発癌性)HPV」と呼びます。
性器・尿道・膣・肛門などに疣贅(いぼ)が現れる可能性があります。


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HPV感染症の検査

ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症の検査には主にHPV DNA検査細胞診の二つがあります。

HPV DNA検査

ヒトパピローマウイルス(HPV DNA)検査は、ウイルスに感染しているかどうかを調べる検査方法です。
感染したと思われる陰茎部や子宮頸部などの患部の細胞を用いて、ウイルス感染の有無を調査します。

細胞診

細胞診は、細胞が癌に進行する前の異形成の状態(前癌病変)なのかどうかを調べる検査方法です。
HPV検査と同様に感染したと思われる陰茎部や子宮頸部などの患部の細胞を採取後に顕微鏡を使い、異形成の有無を調査します。

 

HPV感染症の治療法

ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症は、免疫系が健全であれば治療をしなくてもウイルスが根絶します。

子宮頸癌は、高リスク型のHPVが持続感染すると、感染から数年から十数年の後に前癌病変の状態を経て発症します。

子宮頸がんと尖圭コンジローマに対する治療法をそれぞれ解説していきます。

 

子宮頸がん

子宮頸がんの治療はがんの大きさや転移の有無によって大きく異なります

早期の子宮頸がんに対しては、子宮を温存するための治療として子宮頸部円錐切除術という部分切除が行われます。
一方、子宮を残すことを希望しない患者さんに対しては、子宮の全摘術が選択されます。

進行した子宮頸がんについては、放射線治療と抗がん剤治療を中心に行います。

 

尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマに対する治療法には主にレーザー電気焼灼術凍結療法手術があります。
病変部を焼灼や切除して除去します。

 

HPV感染症を予防するには?

ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症を予防する方法は、主にHPVワクチン接種コンドームの使用子宮頸癌の定期健診です。
一つずつ項目を解説いたします。

HPVワクチン接種

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種は、子宮頚部細胞にHPV感染を予防します。(一次予防)
ワクチン接種については後ほど詳しく説明します。

コンドームの使用

避妊器具であるコンドームの使用は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の予防にある程度効果的です。
ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症は性行為により感染するウイルスのため、罹患した男性から女性にうつるケースがあります。

そのため陰茎部にコンドームを装着することで、HPV感染症のリスクが下がります。

子宮頸癌の定期検診

子宮頸がんの定期検診で「HPV DNA検査」と「細胞診」のスクリーニング検査を行うことで、ウイルス感染の有無や癌の過程である異形成または早期癌の発見を行います。(二次予防)

 

 

HPVワクチン接種について

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種は、前述した通りヒトパピローマウイルス(HPV)感染症を予防する方法の一つです。

 

ワクチンの仕組みを利用し、体内にHPVの免疫を持つことでヒトパピローマウイルス(HPV)の感染リスクを減らします。
ワクチンを接種することで、ハイリスクHPVやローリスクHPVの遺伝子型などに、持続的な感染の予防効果が期待できます。

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種の定期接種の対象者は、12歳から16歳(小学生6年生から高校1年生)の女性で、合計3回の接種が必要です。
初めて性交渉を経験する前に接種することが重要なことです。
日本小児科学会と日本産科婦人科学会では、小学6年生(11歳)から高校1年生(16歳)の優先的なワクチン接種を推奨し、定期接種で接種可能です。
また、対象年齢以外の方であっても実費で接種することができます。
2021年現時点でのヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは、3種類のワクチン(サーバリックス®・ガーダシル®・シルガード®9)が販売され、定期接種で利用または予定されています。
サーバリックス🄬 (2価) HPV16型、18型 (子宮頚癌から最も多く検出)
ガーダシル🄬(4価) HPV16型、18型 HPV6型、11型(尖圭コンジローマ等の原因)
シルガード🄬(9価) HPV16型、18型 HPV6型、11型 HPV31型、33型、45型、52型、58型(高リスク型HPV)

 

 

HPVワクチン接種スケジュール

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンには、接種スケジュールが設定されています。
前述した通り、どのワクチンでも合計3回の接種が必要です。

サーバリックス®の場合は、標準の接種であれば1回目と2回目は1ヵ月空けて、1回目と3回目は6ヵ月空けます。
標準的な接種ができない場合は、1回目と2回目に1ヵ月以上空けて、1回目と3回目は5ヵ月以上かつ2回目と3回目に2か月以上空けます。

ガーダシル®とシルガード®9の場合は、標準の接種であれば1回目と2回目は2ヵ月空けて、1回目と3回目は6ヵ月空けます。
標準的な接種ができない場合は、1回目と2回目に1ヵ月以上空けて、2回目と3回目に3か月以上空けます。

 

 

HPVワクチンは男性も接種できるの?

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種は、男性でも厚生労働省が認可(2020年12月)しています。
ただし男性が接種できるワクチンは、不活化ワクチンのガーダシル®のみで、実費でのワクチン接種となります。

男性の場合は、性の経験がある90%以上がHPVに感染する可能性があります。
遺伝子型がハイリスクHPVの場合は癌になりやすく、男性は陰茎部の感染で陰茎癌が進行する可能性があります。

また、遺伝子型がローリスクHPVの症状では、性器・尿道・膣・肛門などにイボ(尖圭コンジローマ)が現れる可能性があります。

HPVワクチン接種費用

当院でのヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種費用は、
サーバリックス®とガーダシル®の場合は1回およそ17,600円(外税込み)で、合計3回でおよそ52,800円となります。
シルガード®9の場合は1回およそ29,700円(外税込み)合計3回でおよそ89,100円となります。

つまり女性であれば公費(無料)対象者の小学校6年生~高校1年生の期間に、HPVワクチンを接種することがおすすめといえます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

参考文献

我が国におけるヒトパピローマウイルスワクチンの現状 ファルマシア 55 巻 11 号 p. 1039-1043 (2019) 尾内 一信
https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/55/11/55_1039/_pdf/-char/ja