もりのぶ小児科|新宿区西五軒町の小児科

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B型肝炎について

「B型肝炎とはどんな病気でどんな症状なのか、また治療法にはどのような方法があるの?」

「B型肝炎ワクチンの予防接種について詳しく知りたい。」

など、疑問に思うことがたくさんあると思います。

B型肝炎は血液等の体液を媒介してウイルスが感染する病気で、主に肝臓が患部とされています。

日本国内には現在、およそ110万人~140万人のB型肝炎感染者がおられます。
感染経路は水平感染と垂直感染(
母子による感染)です

B型肝炎のワクチン接種をすることで、B型肝炎ウイルスの感染を予防できます。
B型肝炎の予防をする重要性を確認しましょう。

また、もりのぶ小児科では、B型肝炎のワクチン接種を行っています。
下記のボタンよりお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら

 

B型肝炎とは?

B型肝炎とは、B型肝炎ウイルス(HPV)が、血液・唾液を含めた体液を媒介し感染し、肝炎を発症します
B型肝炎ウイルスに感染した人の怪我などによる血液からの感染や、性行為などの性的接触による感染があります

B型肝炎は感染時期・健康状態から一時的な感染で回復する一過性感染と、生涯にわたり感染が継続する持続感染に分かれます。

急性肝炎を起こすまでの潜伏期間は、B型肝炎では感染してからおよそ1~6か月です。

 

 

 

B型肝炎の感染経路

B型肝炎ウイルスの感染経路は主に以下の通りです。

・水平感染・垂直感染(母子間)など
・医療関連
・ピアスをするときの器具
・原因不明

上記の感染経路により、ウイルスが含まれる人の血液・唾液などの体液が、相手の体内に入り込むことで感染するとされています。

具体的には以下の感染方法があげられます。

・出産前後の母から子への感染
・外傷による皮膚の傷などから感染者の血液が混入し感染
・感染者との性行為など性的接触による感染
・輸血や注射器の使いまわしによる感染

B型肝炎ウイルスは感染力が強いです。

 

 

B型肝炎の症状

B型肝炎は、「急性B型肝炎」「慢性B型肝炎」「B型肝炎ウイルスキャリア」の3つに分けられます。
それぞれ解説いたします。

 

急性B型肝炎の場合

急性B型肝炎の場合の潜伏期間は感染してからおよそ1~6か月とされています。

その潜伏期間を経て全身の倦怠感・食欲不振・悪寒・嘔吐・褐色尿・眼球結膜の黄疸などの症状が発生するとされています。
急性B型肝炎の症状が激しい場合は、劇症肝炎(肝不全)を起こすケースもあります。

また、急性B型肝炎に対しては基本的に治療を行わず、自然に肝炎ウイルスが排除されるのを待ちます。

 

 

慢性B型肝炎の場合

慢性B型肝炎の場合は出生時・乳幼児期に感染し、その後に持続感染へと変遷します。
生後およそ数年から数十年の間は肝炎の発症がありません。

しかしB型肝炎が体内から排除されず、無症候性キャリアという他者に感染させる可能性がある状態となります。

慢性B型肝炎では、およそ10歳代から30歳代の子供から大人の間に一過性肝炎を起こします。
その後時間の経過と共に、肝炎ウイルスが高い増殖性を持つ状態から比較的おとなしい状態へ変化するとされています。

前述のように一過性肝炎発症後に肝機能が安定する方はおよそ80%~90%で、残りは慢性肝炎へと移行し肝硬変・肝がんへと変遷します。

 

B型肝炎ウイルスキャリアの場合

B型肝炎ウイルスキャリアとは、簡単に説明すると体内にB型肝炎ウイルスを保有している方のことをいいます。

成人では免疫機能が確立していることからB型肝炎ウイルスに感染しても、急性肝炎を発症し一過性感染後に治癒、または不顕性感染で自然治癒することがほとんどです。

ですが免疫機能が未熟である乳幼児・透析患者・免疫抑制剤使用者は、ウイルスが排除されないまま体内に保有した状態である持続感染となります。

 

 

B型肝炎の検査

B型肝炎の検査方法には主に血液検査肝機能検査肝生検があります。

 

血液検査

B型肝炎に感染しているかどうかは血液検査で血性学的診断を行い評価します
HBs抗原を測定し陽性の場合に、B型肝炎ウイルスに感染した状態であると判断されます。

他に、HBc-IgM抗体等も感染の評価に用いられます。
また、HBs抗体は肝炎ウイルスに対する免疫を評価する時に測定されます。

 

肝機能検査

肝機能検査(一般肝機能検査)は以下の要素を組み合わせた検査で、肝疾患の発見に有用な検査方法とされています。

・心筋・肝臓・脳・骨格筋・腎臓に含まれる酵素のGOT(AST)
・肝臓に一番多く含まれる酵素のGPT(ALT)
・肝疾患を含め肝由来・骨由来・胎盤由来・小腸由来のALP
・胆道系の細胞に多く分布する酵素のγ-GTP
・直接型と間接型に分類される血清ビリルビン

 

遺伝子検査

遺伝子検査では、HBV DNA定量法、HBe 抗原および関連する遺伝子変異、Genotype および subgenotype、YMDD 変異解析等が行われます。

 

肝生検

肝生検は慢性肝炎や肝硬変の診断の確定や、病気の程度を判定するために行われる検査です。
腹部の経皮的に特殊な針を挿入し、直接肝臓から細胞を採取し調べます。
肝生検は通常、入院により行われます。

 

 

B型肝炎の治療法

小児のB型肝炎に対してもっとも有効と考えられているのはインターフェロン(IFN-α)治療です。
インターフェロンには、肝炎ウイルスの増殖を防ぎ肝炎ウイルスを破壊する効果があります。

小児のB型慢性肝炎に対して保険適用となっているのはインターフェロンのみです。

近年、経口抗ウイルス薬(ラミブジン、アデフォビル、エンテカビル)の開発が進み、保険適用となっていますが、小児への適応はありません。

また、HBワクチン(B型肝炎ワクチン)を使ったB型慢性肝炎の免疫調整療法が試みられています。
なお、肝機能が正常な無症候性B型肝炎ウイルスキャリアの方は、抗ウイルス療法の対象外です。

B型肝炎に対する治療の目標は、HBe抗原の陰性化と、HBe抗原陽性からHBe抗体陽性へのセロコンバージョン(HBe 抗原の消失および HBe 抗体の出現)です。

HBe抗原陽性からHBe抗体陽性へ変化することは、B型肝炎ウイルスの活動が抑え込まれた状態であることを指します。
セロコンバージョンが起こることによって血液中のHBV-DNA量・HBs抗原量が低下し、肝がん発生率が減少します。

その他、B型肝炎の治療法には肝庇護療法があります。
肝庇護療法とは、B型肝炎ウイルスを直接攻撃せずに肝臓の破壊を防ぎ、肝機能の改善を目的とした治療法です。

肝庇護療法には、グリチルリチン製剤・ウルソデオキシコール酸・小柴胡湯(しょうさいことう)などの医薬品や漢方薬を用いた治療法があります。

 

 

B型肝炎の予防

B型肝炎の予防法には主にHBV母子感染予防対策と、小児へのワクチン接種・成人へのワクチン接種があります。

 

HBV母子感染予防対策

HBV母子感染予防対策とは、B型肝炎ウイルスに感染している母親から生まれてくる乳児のB型肝炎ウイルスへの感染を防ぐための予防法です。
B型肝炎ウイルスに対する抗体を多く含んだ、ガンマグロブリン製剤とB型肝炎ワクチンを併せて投与します。

 

ワクチン接種

ワクチン接種には定期接種と任意接種があります。

定期接種は、0歳児に対するワクチン接種です。
0歳児に対してのB型肝炎ワクチン接種は2016年10月から定期接種化されました。
1歳になるまでに定期接種として3回の接種を受けます。

任意接種は、定期接種と母子感染予防対策の対象とならない小児と、成人に対するワクチン接種です。
どの年齢の小児でも、B型肝炎ワクチンを接種することが可能です。

任意接種においても3回の接種が必要であり、1か月間の間隔をあけて2回と、6か月以上の間隔をあけて3回目の接種を受けます。

成人の任意接種には、医療従事者などへの接種や、B型肝炎の有病率が高い国へ海外赴任する際などの接種が該当します。

 

 

 

 

B型肝炎のワクチン接種について

上述したように、B型肝炎のワクチンは定期接種対象者だけでなく希望者も接種可能です。

・2016年3月以前に出生されたお子さんもB型肝炎ワクチンの接種が可能です。日本では、小児期にB型肝炎ウイルスに感染することは稀ですが、思春期から成人になる過程で感染リスクがあります。

思春期以前にB型肝炎ワクチンを接種することで、成人になってからの感染予防及びB型肝炎の発症予防、肝硬変や肝がんの予防になります。

他に、B型肝炎を発症している方またはキャリアの方のパートナーや同居人家族、性的パートナーが複数人いる方、性風俗で勤務している方、輸血や血液製剤を行う必要がある方は、任意でのワクチン接種の対象となります。

 

 

B型肝炎ワクチンの定期接種スケジュール

上述の通り、B型肝炎のワクチン接種は2016年10月から定期接種化されました。
1歳になる前に3回の定期接種を受ける必要があります

標準的な定期接種のスケジュールは以下の通りです。

・生後0ヶ月から2ヵ月後に1回目
・1回目のワクチン接種から4週間隔(およそ27日以上)で2回目
・1回目のワクチン接種から20週以上(できれば6ヶ月以上)経過した後に3回目

 同居の家族にB型肝炎のキャリア状態の方がおられる乳児は、生後2か月より早い段階の生後0〜1ヶ月で接種を受けることが可能です。

 

 

B型肝炎のワクチン接種に副作用はある?

B型肝炎のワクチン接種には、一般的なワクチン接種後の副反応と同じ程度の副反応が発生します。

 

 

B型肝炎のワクチン接種後に気をつけるべきこと

一般的なワクチン接種後の注意をしてください。
ワクチン接種後30分以内はアナフィラキシー等の副反応が起きる可能性があり、様子を観察してから帰宅することが大切です。
アレルギー症状が発症した場合に医師とすぐに連絡できるようにしておきましょう。

ワクチン接種を受けた日には、入浴などの体を洗う行為は差し支えありません。
またワクチン接種当日は、普段通りの生活で構いませんが、多量のお酒を飲むことや激しい運動は避けてください。

 

 

B型肝炎のワクチン接種費用

B型肝炎のワクチン接種は、当院で任意接種の場合、1回で6,600円(6,000円+外税)で、3回で合計19,800円の費用がかかります。
また、ワクチン接種の前にB型肝炎ウイルスの免疫状態を判断する抗体検査を受けることができます。

 

ワクチンの接種はこちら

また、もりのぶ小児科では、B型肝炎のワクチン接種を行っています。
下記のボタンよりお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

参考文献

「B型肝炎治療薬の現状と問題点」ファルマシア 49 巻 11 号 p. 1064-1068 (2003) 黒崎 雅之https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/49/11/49_KJ00010068511/_pdf/-char/ja

厚生労働省:ワクチンの接種間隔の規定変更に関するお知らせhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou03/rota_index_00003.html

小児 B 型肝炎診療指針と日常診療 小児感染免疫 Vol. 21 No. 2 p130-136
小児感染免疫第21巻第2号 (jspid.jp)