もりのぶ小児科|新宿区西五軒町の小児科

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アデノウイルス感染症について

子どもの日常感染症の一つであるアデノウイルス感染症についてお話しします。
アデノウイルス感染症は感染力が強く、複数の型があるという特徴があります。

本記事ではアデノウイルス感染症について、以下の点を中心に解説します。

  • アデノウイルス感染症の症状
  • アデノウイルス感染症の治療方法や潜伏期間
  • アデノウイルス感染症の予防と対策について

アデノウイルス感染症について正しく理解し、感染を拡大しないための予防や対策の参考にしていただければ幸いです。

ぜひ最後までお読みください。

 

アデノウイルス感染症とは?

アデノウイルス感染症は乳幼児の急性気道感染症(かぜ症候群)の10%前後の原因になっている感染症です。

感染症の原因であるアデノウイルスは、51種類の血清型と52型以降の遺伝型(genotype)を持ち、AからGの7つのカテゴリに分類されています。

多くの種類が存在するため、同じ病気に何度もかかる可能性があるアデノウイルス感染症の感染経路や症状についてご紹介します。

 

アデノウイルス感染症の原因と感染経路

アデノウイルス感染症の感染経路は、咳やくしゃみなどの飛沫感染や手指を経由しての接触感染、感染している子どものウンチによる糞口感染などさまざまです。

結膜や上気道からアデノウイルスに感染すると、扁桃腺やリンパ節の中で増殖します。

プールの水が原因で感染した事例が有名で、夏だけ感染が広がると誤解される方もいますが、アデノウイルス感染症に季節の関係は少なく年間を通して感染の危険があります。

 

アデノウイルスによって引き起こされる感染症

アデノウイルスは型と種によって引き起こされる症状が違います。

代表的な症状の咽頭炎・扁桃炎等の呼吸器疾患、咽頭結膜熱、流行性角結膜炎、アデノウイルス性胃腸炎、出血性膀胱炎についてご紹介します。

 

アデノウイルス咽頭炎、扁桃炎等

呼吸器感染症は乳幼児がかかることが多いです。

長引く発熱、咳などの呼吸症状や、下痢などの消化器症状などがあり、中には重症化して髄膜炎や脳炎、心筋炎などを併発した報告もあります。
以前に、アデノウイルス7型の流行で重症の肺炎を起こした事例もありました。

 

咽頭結膜熱(プール熱)

咽頭結膜熱の流行を引き起こす可能性が高いのはアデノウイルスの3型ですが、4型や7型など他の型が原因の場合もあります。

手指やプールの水を経由して結膜や上気道から感染することが多く、発症すると発熱や頭痛、食欲不振、のどの腫れや痛み、結膜炎などの症状が3〜5日間ほど続きます。

咽頭結膜熱はプールを経由して感染が広がった事例があったため、プール熱とも呼ばれています。
しかし近年ではプールの水の消毒を徹底しているためプールでの感染はほとんどありません。

 

流⾏性⾓結膜炎

流行性角結膜炎は、アデノウイルスの中でもD種およびE種による疾患で、手などの接触により感染することが多いです。

発症すると、まぶたの腫れや涙が出るなどの症状があり、感染力が強いため症状は両目に起こりやすい傾向があります。

新生児や乳幼児は、偽膜性結膜炎を発症するリスクが高く、時には細菌感染と組み合わさって角膜穿孔を引き起こすことがあるため注意が必要です。

 

アデノウイルス性胃腸炎

アデノウイルスの31型や40型、41型によります。

主な症状は、発熱、嘔吐、下痢で、6歳以下の乳幼児がかかる割合が高いです。
他のウイルスが原因の胃腸炎より、下痢の期間が長い特徴があります。

潜伏期間が3〜10日ほどで、気づかないうちに人から人へ感染してしまうことがあります。

 

出⾎性膀胱炎

アデノウイルスに感染しての出⾎性膀胱炎は11型が原因になることが多いです。

出⾎性膀胱炎は、排尿時に痛みを伴い、真っ赤な血尿が現れることがありますが、通常は2〜3日ほどで症状は改善し、尿に血が混じる状態も10日ほどで正常に戻ります。

 

 

小児科を受診するタイミング

保育園での流行などで、アデノウイルス感染症の感染が心配な場合は小児科を受診する必要があります。

小児科を急いで受診した方が良い子どもの状態やアデノウイルスの診断方法をご紹介します。

 

脱水症状が出ている場合

アデノウイルスに感染して発熱などの症状が出ていても、水分や睡眠を問題なく取れる場合は急いで小児科を受診しなくても大丈夫です。
翌日以降にかかりつけの病院で診察を受けてください。

しかし、子どもがぐったりして水分を摂ることが出来ない場合や、おしっこの量や回数が減っている場合は午前中に小児科を受診してください。

脱水症状を起こしている可能性が高いため、病院で点滴などの処置が必要なこともあります。

また下痢の症状が出ている場合も、脱水症状を起こしやすいため受診するようにしてください。

 

アデノウイルスの診断方法

アデノウイルス感染症は、適切な診断と治療をするために迅速診断キットを用いた診断方法を用いることがあります。
迅速診断キットは主に、10〜15分ほどで結果が得られます。

迅速診断キット以外の診断方法には、ウイルス分離やPCR検査などがあります。しかし、研究的な検査で、日常診療では用いません。

日常診療でウイルス検査が可能な迅速診断キットが、小児科や眼科を中心に普及しています。

 

 

アデノウイルス感染症の治療方法

アデノウイルスに感染した場合の治療方法や食事、潜伏期間をご紹介します。

 

対症療法

アデノウイルス感染症には特効薬がなく、症状に合わせて和らげる薬を服用してアデノウイルスが体外に排出されるのを待つ対症療法が基本的な治療方法です。

残念ながらアデノウイルスの特効薬やワクチンは、研究段階で実用化には至っていません。

 

感染中の食事や水分補給

アデノウイルス感染症にかかると、高熱が続き、食欲が落ちてしまう子どもが多いです。

のどの腫れや痛みで食事が難しい場合は、お子さんのペースに合わせて、体力を落とさないように一口でも、おかゆやうどん、冷ましたおじやなど柔らかい食べ物にすることをおすすめします。

お腹の調子が悪くないときはゼリーやプリン、アイスクリームなど子どもが欲しがるものを食べさせてください。
嘔吐や下痢の時は、冷たい食事や飲料は腸を刺激するので、控えましょう。

熱が持続して、食事がとれない、吐いている時は、脱水症状が起こる場合があるため、経口補水液などを少しずつこまめに飲ませて水分補給をするようにしてください。

 

登園・登校の目安

アデノウイルス感染症は症状により、アデノウイルス感染症による咽頭炎、咽頭結膜熱や、胃腸炎、結膜炎などの診断になりますが、基本的に、「主な症状が消失して2日を経過するまで」が登園の目安になります。(新宿区のHP)

 

 

アデノウイルス感染症の予防と対策

アデノウイルスの感染を予防する方法と、感染した場合に家庭内で感染を広げないための対策をご紹介します。

 

手洗い

アデノウイルスの感染経路には接触感染があるため、予防するにはこまめな手洗いが大切です。
特に指の間や、爪の隙間は洗い残しが多くなる箇所なので、意識して洗うことをおすすめします。

食事の前やトイレ後、帰宅した時に石鹸で手を洗い、さらに手指を消毒すると予防につながります。

 

消毒

アデノウイルスは接触感染で広がるため、感染した患者とタオルや食器は分けて使用し、消毒をすると感染を広げないための対策になります。
また、患者が触れたドアノブなどの室内の消毒も大切です。

アデノウイルスは消毒剤への抵抗が強いので、次亜塩素酸ナトリウムで消毒することをおすすめします。

タオルや衣類の場合は、市販されている次亜塩素酸ナトリウム(原液濃度が6%)を20mlに対して、1Lの水で薄めてください。
濃度が0.1%の消毒液ができるので、30分つけた後に他のものと分けて洗濯することをおすすめします。

濃度0.1%の消毒液は衣類の洗濯の他に、吐しゃ物を掃除する際の床の消毒にも使えます。

一方、ドアノブや便座などの普段からの部屋の消毒や食器の消毒には、次亜塩素酸ナトリウム(原液濃度が6%)4mlを1Lの水で薄めた0.02%の消毒液を使用してください。

消毒液は毎日新しいものに交換して、消毒する際はゴム手袋と眼鏡をつけて換気をしながら消毒を行ってください。

次亜塩素酸ナトリウムは漂白作用があり、金属を腐食させてしまうので金属製の器具の消毒には使えません。

また、酸性の漂白剤と一緒に次亜塩素酸ナトリウムを使用すると塩素ガスが発生してしまい危険なので取り扱いには十分に注意して消毒をしてください。

 

 

まとめ

ここまで、アデノウイルス感染症についてお伝えしてきました。

アデノウイルス感染症の要点をまとめると以下の通りです。

  • アデノウイルス感染症は子どもが感染しやすい風邪のウイルスで感染力が強い
  • 治療方法は対症療法を行いながらの自然治癒で、特効薬はまだない
  • 飛沫や接触で感染するため、手洗いなどの感染対策が必要

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

参考文献